2010年9月1日

夏の天気・転機

これまで実家(山)で暮らしていたが、思うところいろいろとあり、8月はイギリスで過ごした(途中フランスのチェロコースにも行った)。 

ここ数ヶ月は精神的に相当きつく、薬の力も借りてぢっと回復を信じてやってきて実際随分良くなったのだが、イギリス(とフランス)へ行く気力が本当に自分にあるのかは、出発の前日まで自分でもわからなかった。前日になって、ここまで回復できたのは私一人の力ではない、家族、友人、病院の先生など、支えてくれた人たちのおかげだから、このひと月できっと元気になって帰って来ようと腹が据わった。結果からいえば、イギリスに行って本当によかった! 昨日日本へ無事帰国した。 

もう一度イギリスへ行ってこようという選択は正しかった。基本的にはただ勉強をしていただけであるが、それでも、自分にとって大きな出来事はあった。この夏印象的だった体験を2つ書こうと思う。

その前に... ひと月間、Oさんには本当にお世話になった。部屋を貸してくださっただけでなく、散歩に連れ出して美しい夏のウィンブルドンを見せてくださったり、美味しい食事を作ってくださったり、ここではとても書ききれない。無事にイギリスに滞在できたのはOさんが本当に良くしてくださったからだ。ありがとうございました。 


1st mov. ハーブティーの効能 
(2nd mov. フランスでのチェロコース) 
(3rd mov. 前に住んでいた家に行った) 
Final mov. A Prom:ギル・シャハムと音楽の世界 
(2は前回の「チェロ日記」。3はここでは割愛) 


1st mov. ハーブティーの効能

私は寝る前にカフェインを摂っても睡眠に影響のない体質ということもあり、普段は朝も昼も夜も緑茶(中国茶含む)を飲んでいるし、ついでにいえばハーブティーなんてしゃらくさいと思っていたのでこれまで積極的に試したことはなかった。たまにルイボスティー、カモミールなど飲んでいた程度。でも、今回Oさんのお宅では様々な種類のハーブティーを頂いて、すっかり気に入ってしまった。 

まずは、美味しさ! 
ハーブティーは美味しくないというイメージがあったけど、最近のものは昔より美味しくなったのだろうか?それとも若い頃ひ○ねの喫茶店で飲んだ、煮出した毒色ペパーミントティーのトラウマからそう思い込んでいただけ? 今回飲んだものはどれも美味しかった。ある草のみを乾燥させて砕いたもの(シングル)も、いくつかの薬草をブレンドし、オイルを加えて作ってあるものも、独自の香りと味の残響がある。よく味わうためには、マグカップにティーバッグを入れてお湯を注いでから、茶葉が広がってオイルが十分拡散するまで数分間待つのが大事だそうだ。 

おおおっ美味しいと思ったのは、Dr. Stuart's というシリーズのDetoxというハーブティー。日本語のウェブには、「デトックスは、体内の老廃物の排出作用があり、血液や細胞組織の浄化に効果があります」とある。(溜まった毒を全部解毒してくれるなら何杯でも飲むよ...) 実際の効果のほどはわからないけど、これは甘みが強くて刺激が少ないので飲みやすい。タンポポの根、ゴボウの根、トウモロコシの絹毛、オオアザミ、生姜の根などちょっと奇妙なものがいろいろ入っている。普通に飲んでもかなり美味しいけど、日本で、水出しして氷を入れて飲んでみたらそれもとても美味しかった。家の人にも好評だった。 
日本でも取り寄せできます。ウェブサイトはこちら。 
http://drstuarts.shop-pro.jp/?pid=2074981 
http://drstuarts.shop-pro.jp/ 


そして、効能。 
ハーブティ(herbal tea)については様々な定義があるようだが、通常茶ノ木以外の植物(とくに消毒・殺菌、精神の安定など食用以外の効能が認められる植物)の葉、花、果実などを煎じた飲み物をさすらしい。 
スーパーマーケットのお茶コーナーに行くと、様々な種類のハーブティーが売られており、パッケージを見ると、それぞれ原材料名の記載とあわせて「安眠」「美容効果」「リフレッシュ」などその効能が書いてある。 

「リラックス」「トランキリティ」などいろいろ試したが、特に効いたという実感があったのは、Celestial(セレッシャル)というブランドのsleepytimeというハーブティー。「スリーピー」というだけあって、このお茶を寝る前に飲んだら、自然と眠くなってベッドに入ったらすぐに眠れた。ここ数ヶ月、日本では明け方まで眠れず、ぼーっとした頭で机に向かっていたことが多かったので、お茶を飲んだら眠れたのにはびっくりした。 
http://www.celestialseasonings.com/ 
「スリーピータイム」にはカモミール、スペアミント、レモングラス、ブラックベリーの葉、ローズバッドなどがブレンドされている。カモミールは不眠、不安、消化不良、食欲不振に、スペアミントは疲労、ストレス、神経性の緊張に効果があり、レモングラスには殺菌、消化促進に加えて疲れた心を回復させる、心を明るく高揚させる力があるとのこと。 
このお茶は、冷めても美味しい。何かを始めるとお茶を入れたことを忘れる人間にとってはありがたい。 
日本でも通販で取り寄せできます。セレッシャルのウェブサイトはこちら。とってもおすすめです! 
http://www.celestialjapan.com/ 

ところで、イギリスといえば紅茶のイメージがあるが、イギリス人がお茶を輸入して飲み出したのはここ350年くらいのことであり、それまではエールかサイダー(リンゴジュースで作った飲み物。通常アルコール飲料)か、ハーブを乾燥させて煮出したものを飲んでいたらしい。お茶がイギリス国民の飲み物として定着したのは1750年頃。お茶といっても紅茶ではなく、当時は粉緑茶または低級なウーロン茶だった。イギリス宮廷では、1662年にポルトガルから国王チャールズ2世に嫁いだキャサリン王妃の趣味でお茶を楽しむようになり、のちに上流階級にも広まって洗練されたイギリスの喫茶文化となった。1700年代後半になって発酵の度合いの高い紅茶(工夫紅茶)の生産が中国、インドでさかんになった。紅茶がイギリスに大量に輸入され、庶民にも普及したことは、サトウキビの輸入販売が拡大したことと密接に関係している。産業革命期には、アルコールのかわりにミルクと砂糖を入れた紅茶を飲むことが推奨されるようになった。ロンドンのコーヒー・紅茶博物館のウェブサイトには、紅茶を飲むようになって、人びとは工場での長時間労働に耐えられるようになったと書いてある。紅茶はイギリスの経済的・文化的発展において大きな役割を担っていたのだ。20世紀の初めにティーバッグが発明されて、人びとはますます手軽に紅茶を飲めるようになった。 
ハーブはというと、人類は有史以前から薬草を医療用、精神の治療用に用いており、薬草を煎じたものを薬として飲んでいた。中世ヨーロッパでは、修道院で病気の治療法の研究の一環として薬草の研究が行われていた。イギリスでは、1600年代にハーブの研究を熱心に行ったニコラス・カルペパーが、1649年、Pharmacopoeia という薬草書をラテン語から英語に翻訳して出版し、それまで医師の特権であり秘密であった薬草の知識を庶民にも広めた。現代では、ハーブの効能は広く知られており、美容、ダイエット、心身の鎮静、リラックスなど様々な目的にあわせたハーブティーが各種生産販売されている。 

ハーブティーの効能については、即効性を期待しすぎてもいけないが、ホントかねえと疑心暗鬼で飲むより、「ちょっと気分が落ち着かないからリラックスのお茶にしようかな」とか、「ローズヒップは美容に効果があるのかー。飲んだらちょっと美人になれるかも!?」と楽観的に思って(でも美容効果はむしろ願掛け)飲んだほうが良いことも、今回の発見であった。 

健康のためといって不味いものを我慢して飲んだり食べたりするのはかえって悪影響だと思うけど、美味しくて、しかもちょっと気分がほっとしたり、眠れたりするなら、ハーブティーはすごいと思う。 

(続く) 

 

ロンドンブリッジすぐ近くのコーヒー・紅茶博物館のウェブサイトはこちら。二回行ったことがあるが、地味ながらなかなかおもしろい博物館だった。 
http://www.teaandcoffeemuseum.co.uk/ 

参考にしたウェブサイト 
http://www.ayati.com/TEA/REKISI.HTM 
http://www.panix.com/~kendra/tea/tea_to_england.html 
http://en.wikipedia.org/wiki/History_of_tea#United_Kingdom 
http://www.jp-greentea.co.jp/herb/kenko5.html 
http://www.herbpalace.com/alternative-medicine/herbal-medicine.html 
http://homepage2.nifty.com/toishi-a/culpepper1.htm

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