2011年5月31日

"More About Paddington" くまのパディントンの話




最近読んだ本より。

"More About Paddington" Michel Bond

『くまのパディントン』の第2作目。
ペルーからイギリスへやってきたくまのパディントンが、居候しているブラウンさんのおうちで巻き起こすドタバタ騒ぎ、クリスマス編。
部屋の模様替えをしようとしてペンキまみれになり部屋をめちゃめちゃにしてしまっても、雪の日に雪だるま(雪グマ?)になろうとして長時間屋外にいて病気になってしまっても、ブラウンさんの奥さんとクリスマスのお買い物に行って大騒動を引き起こしても、なんだか憎めないユーモラスなくま、パディントンと、この予測のつかないくまの行動に頭をかきながらも、家族として暖かく受け入れているブラウンさん一家のお話。

パディントン・ベアは、イギリスに住んでいる間に大好きになった。イギリスではいろんなところでこのくまのぬいぐるみが売られていて、見るたびにかわいいなあと思っていたのだが、パディントンのスーツケース型の箱に入ったDVD・ボックス・セットを買ってから、すっかりファンになってしまった。原作を読むと、常にマイペースなパディントンが実は家族やお友達をとても大切にしている様子、ブラウンさんの奥さんがいつもパディントンの味方をして夫の愚痴に優しく反撃する様子、お手伝いのミセス・バードが「こまったクマさんねえ」とこぼしながらもパディントンをあたたかく見守っている様子などが、せりふのひとつひとつ、お話の隅々から伝わってくる。お話はどれもへんてこだし、可笑しいのだけど、同時になんだか感動してしまって、3日間ほど、夜中に本を読みながら飲むお茶の量が増え、カフェインのせいもあるのかなかなか寝付かれなくなり、寝床でひとり思い出し笑いをしていたのであった。





一番気に入ったのは、初めての大雪にはしゃぎすぎて病気で数日間寝込んだパディントンが、ようやく回復に向かう場面。一家はパディントンのことが心配で心配で、何度もお医者を呼んだり、夜中にそっと様子を見に行ったりしていた。


「パディントンは随分良くなりましたわ。起き上がって、マーマレードのサンドウィッチが食べたいと言ったんですよ!」とミセス・バードが興奮気味にブラウンさんの奥さんに報告すると、奥さんは「マーマレードと聞いてこんな嬉しい気持ちになったことなかったわ」と泣き笑いを浮かべる。するとそのとき、ブラウンさんがパディントンが緊急の時に鳴らせるようにとベッドの脇に設置したベルがけたたましく鳴る。真っ青になったミセス・バードとブラウンさん一家がパディントンの部屋に駆け込んでくる。(以下引用)


  When they entered, Paddington was lying on his back with his paws in the air, staring up at the ceiling.
  "Padington!" called Mrs. Brown, hardly daring to breathe. "Paddington, are you all right?"
  Everyone listened anxiously for the reply. "I think I've had a bit of a relapse," said Paddington, in a weak voice. " I think I'd better have two marmalade sandwiches - just to make sure."
 There was a sigh of relief from the Browns and Mrs. Bird as they exchanged glances. Even if he wasn't quite himself yet, Paddington was definitely on the road to recovery.




日本では、『パディントンのクリスマス』として福音館書店から出版されています。
(私の読んだのは、Houghton Mifflin Company, Boston という出版社から出ている1959年版。上の引用は91−92ページより)

http://www.harpercollins.co.uk/Titles/28951/more-about-paddington-michael-bond-9780006753438
(リンク先のウェブサイトで、冒頭部分の朗読が聴けます。お話の文章、場面も、朗読の雰囲気も、すべてがイギリスの香り。)

2011年5月22日

「雨の隅田川」(油彩)



今年の2月に、一年くらい前に撮った写真をもとに、隅田川の風景の下絵を描いた。その後、少しずつ薄い色を重ねて、乾くのを待って、また色をのせて、という作業を繰り返して、昨日の夜中にようやく一段落した。実際はもっと暗いトーンなのだが、写真を撮ったら実物より明るくなってしまった。


*追記 2011/05/23 載せた写真が実物と随分違うので、昼間に撮り直し、差し替えました。