2011年1月18日

戦艦ポチョムキン



1925年制作のロシア映画、『戦艦ポチョムキン』は無論、コメディ映画ではない。サイレント映画史上、最も重大なプロパガンダ・フィルムとして知られる作品である。しかし、この名作にしてこの珍名。「ポチョムキン」というなんとも可愛らしい名前と、重厚でかっこいい「戦艦」という響きのミスマッチ。プーチンがチェブラーシカのぬいぐるみを抱いているような違和感がある。たまらん。

なぜ戦艦ポチョムキンかといえば、昨日試験が終わったのである。
4月の末から約9ヶ月、夜更けのカエルの声に心を打たれ、庭の二十日大根を友だちのように感じ、燃えるような山々の紅葉に圧倒され、稲刈り機の騒音に悪態をつき、引っ越してからは何度も道に迷い、祖父母の家の白菊の可憐さに驚き、クリスマスソングは無視した。。。永かったなあ。

よく勉強に行っていたスターバックスで、試験の一日前に、バッハの二つのヴァイオリンのためのソナタの第二楽章が流れたとき、「勝った」と思った。そのメロディは本当に美しく、愛情に満ちていた。その直感通り、私はひとつ、大きな障壁を乗り越えた。これまでの人生で、私は、もともとのアホさに加えて、大変な緊張症のせいで試験や人前であたまが真っ白になり、かたまったまま時間を過ごしたということが何度もあり、そのために人生大損という面があった。でも、ひとつ前の日記に書いたような昨年の訓練の結果、今回の試験では、自分の蓄えてきた力を不足なく本番で出せたのであった。だから、不安の残るものはその通りの点が出たし、力のついたものはかなり良い点数が出た。出来はとても合理的で正直だった。なんというか、自分のしたことに納得がいくということは、こんなにも気持ちのいいものなのか。

というわけで、試験を終え、雪の降る中、本屋さんのあるスーパーに寄って、古本で小説を数冊、新書を数冊、そして戦艦ポチョムキンのDVDを買って帰ってきたのだった。ふとんでぬくぬくしながら本を読む幸せ。ポチョムキンを観たら、あとはチェロの練習がしたい。






*追記1
戦艦の本名は「ポチョムキン=タヴリーチェスキー公」という、エカテリーナ2世の愛人であったグリゴリー・アレクサンドロヴィチ・ポチョムキンに由来するそうだ。グリゴリー・アレクサンドロヴィチ・ポチョムキンは1773年に起こった「プガチョフの乱」で活躍した。プガチョフ。)


*追記2
あと、この映画にはショスタコーヴィチの交響曲第11番「1905」の第二楽章が使用されている点で、音楽史上においても極めて重要な作品であることを強調して付記しておかねばならない。





*プーチンのクマさんはこちら。いいセンス。
http://www.cafepress.co.uk/+vladimir_is_real_man_teddy_bear,300506462
http://www.cafepress.co.uk/+putin_teddy_bear,79461586


*写真は、ロシアで作られた「歴代大統領マトリョーシカ」である。10番目がプーチン。最初のは、ピヨートル大帝(1センチにも満たない大きさらしい)
http://www.rosianotomo.com/matryoshka/matryoshka3.htm

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